測定・検査(基本工具)

ダイヤルゲージによる振れ測定|シャフト・回転体の測定手順

ダイヤルゲージによる振れ測定|シャフト・回転体の測定手順

こんにちは、測定ナビ運営者のkuniです。

モーターの回転軸やさまざまな機械部品のシャフトなど、回転する部品がスムーズに動作するためには、軸の振れを極限まで抑えることが極めて重要になりますね。

もし回転軸にわずかでも振れが生じていると、高速回転した際に激しい振動や異音が発生し、最悪の場合はベアリングの破損や機械全体の致命的な故障に繋がってしまうからです。

このような回転体やシャフトの微細な振れを正確に測定し、設計通りの精度が出ているかを検証するために欠かせない測定器がダイヤルゲージです。

しかし、いざダイヤルゲージを使って振れ測定を行おうとすると、どのように本体をセットすれば良いのか、また全振れと円周振れの違いは何なのかなど、手順に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

測定時のちょっとした固定の甘さや角度のズレがあるだけで、測定値は簡単に狂ってしまい、正確なデータを読み取ることができなくなってしまいます。

そこで今回の記事では、ダイヤルゲージを用いたシャフトや回転体の振れ測定における、正しいセット方法から測定データの読み取り手順、さらに誤差を防ぐ注意点までを徹底的に図解します。

初心者の方でも迷わずにプロ精度の測定ができるようになる具体的なステップをお届けしますので、ぜひ最後まで読み進めて実作業に役立ててくださいね。

記事のポイント
  • 1シャフトの振れ測定には円周振れと全振れの等
  • 2ダイヤルゲージを強固に固定するマグネット等
  • 3スピンドルを測定面に対して垂直に当ててコ等
  • 4測定値の最大値と最小値を正確に読み取り振等




ダイヤルゲージを用いた振れ測定は、回転する部品の機械的な精度を担保するための最も基本的かつ重要な検査工程です。

まずは、この測定がどのような役割を持っているのか、そして測定を行う前に知っておくべき基本的な知識について詳しく見ていきましょうね。

ダイヤルゲージによる振れ測定の役割とメリット

ダイヤルゲージによる振れ測定は、シャフトやローラーなどの回転体が、回転軸に対してどれだけ同心かつ真円に近い状態で回っているかを数値化する役割を持っています。

ノギスやマイクロメーターのように静的な外径寸法を測るだけでは、部品が実際に回転したときに生じるわずかな歪みや偏芯を検知することはできません。

ダイヤルゲージによる振れ測定|シャフト・回転体の測定手順 図解

ダイヤルゲージをワークの表面に当てて回転させることで、軸のブレやうねりをリアルタイムで針の動きとして視覚的に捉えられるのが大きなメリットですね。

これにより、目視では絶対に分からないミクロン単位の振れを正確に検知し、回転不良によるトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

特に精密な回転を要求されるモーターやクランクシャフトの組み立てにおいて、この測定は品質を左右する極めて重要な工程なのです。

測定対象物をゆっくり回したときに、文字盤の針が規則正しく揺れるか、それとも不規則に飛び跳ねるかによって、異常の原因が加工不良なのか曲がりなのかを推測することもできますよ。

回転体の振れをダイヤルゲージで管理する重要性

高速で回転する回転体において、振れを一定基準以下に管理することは、機械の寿命と動作の安定性を保つために不可欠な要素です。

軸が偏芯して回転すると、アンバランスな遠心力が発生し、回転数の上昇に伴って激しい振動や騒音を引き起こす原因になってしまいます。

この振動は、軸を支えるベアリングに過大な負荷をかけ続け、ベアリングの早期摩耗や焼き付きなどの深刻なトラブルを招くのないですかね。

また、ギヤやプーリーが偏芯して回ることで、ベルトのバタつきや歯車の噛み合わせ不良が生じ、動力の伝達効率も大幅に低下してしまいます。

だからこそ、組み立て時やメンテナンス時にダイヤルゲージを用いて振れを厳格に測定し、許容値以内に収まっているかを確認することが極めて重要なのです。

ほんの数ミクロンの振れを放置しただけで、装置全体が異常発熱を起こして緊急停止することもあるため、事前の測定管理こそがトラブル防止の近道ですね。

ダイヤルゲージの振れ測定方法における測定項目

ダイヤルゲージの振れ測定方法には、測定する目的に応じて円周振れと全振れという2つの主要な測定項目が存在します。

円周振れとは、シャフトを1回転させたときに、特定の断面においてダイヤルゲージの針が動く最大幅を測定するものです。

これは主に対象物の偏芯具合や断面の真円度を簡易的に確認したい場合に用いられる測定方法ですね。

一方の全振れは、シャフトを回転させながら、ダイヤルゲージを軸方向にゆっくりとスライドさせて、円筒面全体の最大値と最小値の差を測定します。

全振れを測定することで、円周方向の偏芯だけでなく、軸全体の曲がりや傾きなども含めた総合的な精度を評価することが可能になります。

測定対象となる部品に求められる図面指示や要求精度に合わせて、これらの測定項目を正しく使い分けることが精密測定の基本となります。

ダイヤルゲージでシャフトを測定する必要な器具

ダイヤルゲージでシャフトを測定するためには、本体以外にも測定を安定させるためのいくつかの専門的な器具を揃える必要があります。

まず最も重要なのが、シャフトを両端で安定して受け止め、滑らかに回転させるためのVブロックや両センター支持台です。

Vブロックにシャフトのジャーナル部を載せることで、軸線を一定の高さに保ったまま、手で軽く回すだけでブレのないスムーズな回転を実現できます。

さらに、ダイヤルゲージを強固に保持して定盤の上に固定するための、剛性の高いマグネットスタンドが絶対に欠かせません。

これらのベースとなる器具の精度や固定力が不足していると、測定中に自重や振動でゲージが動き、数値がバラついてしまうため注意が必要です。

アームの固定力が弱い安価なスタンドを使用すると、測定子が金属に当たる強さに負けてアームが微妙にしなってしまい、正確な値が測れなくなりますよ。

(出典:株式会社ミツトヨ公式サイト

測定精度を左右するマグネットスタンドの固定方法

ダイヤルゲージの測定精度を最大限に引き出すためには、マグネットスタンドを定盤に隙間なく強固に吸着させることが基本となります。

吸着させる鉄製の定盤やベースプレートの表面にゴミや油分が付着していると、磁力が弱まり、スタンドが微細にぐらつく原因になりますね。

セットする前には必ず定盤の表面を綺麗に拭き取り、スタンドの底面も清掃してから、磁石をONにして完全に密着させてください。

また、スタンドのアーム関節部にあるクランプネジは、ガタつきが一切なくなるまで指先でしっかりと締め込んで固定することが重要です。

アームが長すぎると自重でたわみやすくなるため、できるだけアームを短くコンパクトに折りたたんだ姿勢でゲージを保持するのがコツですよ。

テストインジケータを取り付ける場合は、ホルダーの固定用溝にしっかりと差し込み、ネジの緩みがないかを指先で細かくチェックする習慣をつけましょう。


ダイヤルゲージと周辺器具の準備が整ったら、いよいよシャフトの具体的な測定作業へと移っていきます。

測定器の設置からデータの正確な読み取り、そして発生しやすい誤差への対策まで、一連の手順を詳しくマスターしていきましょうね。

ダイヤルゲージによる振れ測定|シャフト・回転体の測定手順 図解

ダイヤルゲージの振れ測定前に必要なゼロ点調整

ダイヤルゲージの振れ測定を開始する前の最初のステップとして、測定子の位置決めと目盛りのゼロ点調整を丁寧に行います。

まず、Vブロックに載せたシャフトの測定箇所に対して、ダイヤルゲージのスピンドルが垂直に当たるようにアーム位置を調整します。

次に、測定子の先端がシャフトの表面に軽く触れ、さらにスピンドルが1回転から2回転ほど押し込まれる位置までアームを下げて固定します。

この押し込みを行っておかないと、シャフトが回転して凹んでいる部分を通過した際に、測定子が浮いてしまいマイナス側の振れが測れなくなってしまいます。

アームを固定したら、文字盤の外枠を手動で回し、大針がちょうど0の目盛りを指すように調整すれば準備完了です。

デジタル式の場合は、測定子を押し当てた状態でZEROボタンをワンプッシュするだけで簡単に初期設定ができるので便利ですね。

詳しいゼロ点調整のコツは、こちらのダイヤルゲージのゼロ点調整方法と合わせ方の手順をまとめた記事でも紹介していますので参考にしてください。

回転体の振れをダイヤルゲージで計測する手順

ゼロ点調整が完了したら、いよいよシャフトを手でゆっくりと回転させて、実際の振れ幅を計測するステップに進みます。

シャフトを回す際は、急激な動きや上下のブレを与えないよう、両手で優しく一定の速度で滑らかに回転させるのが大切なコツですね。

シャフトが1回転する間の文字盤の針の動きを目で追い、針がプラス側に最も振れた最大値と、マイナス側に最も振れた最小値を記録します。

例えば、ゼロ点から時計回りに目盛り3つ分(+0.03mm)振れ、反時計回りに目盛り2つ分(-0.02mm)振れた場合、全体の針の動いた範囲は0.05mmとなります。

この最大値と最小値の差こそが、その測定断面における振れの値となるのですね。

測定中は針の揺れをしっかり見つめ、目盛りの数値を読み間違えないよう、文字盤の真正面から覗き込むように意識することがポイントです。

ダイヤルゲージでシャフトを測定する際の注意点

ダイヤルゲージでシャフトを測定する実作業において、最も注意しなければならないのが、測定子を当てる角度とコサイン誤差の発生です。


スピンドルが測定対象物の面に対して斜めに傾いた状態でセットされていると、実際の寸法変化よりも針の動きが小さく表示されてしまいます。

これは幾何学的な角度ズレによって生じる代表的な測定誤差であり、精密な数値を求める現場では絶対に避けなければならないエラーですね。

また、手でシャフトを回転させる際に、上から強く押し付けすぎると、シャフト自体がしなってしまい正確な振れが測定できなくなります。

シャフトの自重だけでVブロックに安定して載っている状態をキープし、側面に軽く触れて滑らかに回転させることを意識してくださいね。

てこ式ダイヤルゲージを使用する場合は、測定子のアームが測定面に対してできるだけ平行になるよう、角度調整ジョイントを慎重にセットしましょう。

ダイヤルゲージの振れ測定方法で起きる測定誤差

ダイヤルゲージの振れ測定方法において、測定結果に悪影響を与えるもう一つの大きな要因が、周囲の微振動と急激な温度変化です。

ダイヤルゲージは1ミクロン単位の変位を捉える非常にデリケートなセンサーであるため、近くを通る人の足音や、エアコンの風でも針が揺れてしまいます。

ダイヤルゲージによる振れ測定|シャフト・回転体の測定手順 図解

精密な振れ測定を行う際は、振動を通しにくい頑丈な定盤の上で作業を行い、エアコンの風が直接測定器に当たらない環境を整えることが推奨されます。

また、測定するシャフトを手で長く持ち続けていると、体温が伝わって金属が熱膨張し、測定値が刻々と変化してしまう原因になります。

測定の直前には部品に余計な熱を与えないよう、素手でベタベタと触るのを避け、手早くスマートに測定を完了させるよう心がけましょう。

測定面の汚れやわずかな錆びも針を大きく狂わせる原因になるため、測定前には必ず防錆油や汚れを綺麗に脱脂洗浄しておくことが必須ですね。

ダイヤルゲージの振れ測定で精度を維持するコツ

今回は、ダイヤルゲージを使用したシャフトや回転体の振れ測定における、基本構造から具体的な測定手順、そしてエラー対策までを詳しく解説しました。

Vブロックやマグネットスタンドといった土台となる器具を正しくセットし、スピンドルの垂直性を意識して測定することで、極めて確からしさの高いデータを得られます。

測定作業の前後には、スピンドルの金属シャフト部分を乾いたクリーンな布で優しく清掃し、埃やゴミが内部ギアに侵入するのを防ぐことが大切です。

また、万が一ダイヤルゲージを床に落としてしまった場合は、内部の精密な歯車や軸受けが歪んでいる可能性が高いため、速やかに使用を中止してくださいね。

落下した測定器をそのまま使い続けると、誤った測定値に基づいて製品を組み立ててしまい、重大な品質トラブルを招く原因になります。

なお、本記事でご紹介した測定手順や推奨機材のデータは、一般的な機械整備における目安であり、すべての製品の性能を保証するものではありません。

正確な技術仕様や取り扱い方法につきましては、必ず各メーカーの公式サイトをご確認いただき、安全基準に準拠した上で自己責任にて作業を行ってください。

最終的な測定データの判定や、機材の選定プロセスにつきましても、読者の皆様の責任と判断において安全第一で実施していただくようお願いいたします。

質問
Q. シャフトの振れ測定で円周振れと全振れはどう使い分けますか?
回答

シャフトの特定の断面のみの偏芯を調べる場合は円周振れを、軸全体の曲がりや傾きを含めて厳密に検査したい場合は全振れを選択しますよ。
質問
Q. ダイヤルゲージのスピンドルが斜めに当たるとどうなりますか?
回答

傾いた角度の分だけ測定値が実際よりも小さく表示されるコサイン誤差が発生するため、必ず垂直に当てる必要がありますね。
質問
Q. 測定中にダイヤルゲージの針がピクピクと安定しない原因は何ですか?
回答

マグネットスタンドの固定ネジの緩みや、測定するシャフトの表面に付着した埃、周囲の床の微振動などが主な原因と考えられますよ。
測定前に対象物を綺麗に清掃し、スタンドを再度締め直してみてくださいね。
質問
Q. シャフトを回す時に手元がブレてしまう場合の対策はありますか?
回答

Vブロックの溝に少量の低粘度オイルを塗布して回転時の摩擦を減らすか、またはプーリーなどの治具を介してゆっくり回すと安定しますよ。

-測定・検査(基本工具)